カルナの美徳

世界最長の叙事詩(10万行)マハバーラタには、

魅力的なキャラクターが沢山登場します。

ラーマヤーナと並びイティハーサと呼ばれる

マハバーラは聖典として崇められ、神聖であることは

言うまでもありません。

ただ、そのキャラクター設定、プロット、伏線、

ストーリーの捻り、サプライズは、流石は全ての

根源インド!

自分の中では、究極元祖海外ドラマ。

人間関係のドロドロ感は、元祖昼ドラ。

全てのストーリーのお手本要素が詰まっているといっても

全く過言ではありません。


マハーバーラタを読んでいて自然と涙が溢れるシーンが、

いくつかあります。

そこに登場するのがカルナというキャラクターです。


クンティー妃がまだティーンのころ、

ある朝、窓辺から燦燦と輝く太陽の光に

目を覚まします。

ふとドゥルヴァーサ仙から授けられた神々を呼べる

マントラを唱えてしまったクンティーの前に

現れたのはスーリャデーヴ(太陽神)でした。

陶酔したようにその眩さに魅せられたクンティーは

そのままスーリャデーヴァとの愛の行為に

身を委ねます。


そこで授かったのがカルナでした。

耳には黄金のイヤリング、そして黄金の鎧をまとった

赤ん坊を前に、若いクンティーはどうしてよいかわからず

近くの川に彼を流してしまいます。

カルナは本来クル属の長男、そして将来の王として

生まれたのにもかかわらず、その事実はクンティーしか知らず、

彼は拾われ、馭者とその妻ラーダに溺愛され大切に育てられます。

彼は、ラーデヤ(ラーダの息子)と呼ばれました。


太陽神の息子、そしてクル族の長男であるカルナは

物心がつくとクシャトリヤとしての血が騒ぎ武術を

習いたい衝動に駆られます。しかし

スータプトラ(馭者の息子)であり身分が低いことを

理由に誰も彼に武術を教えるアーチャルヤはいません。


やがて自らの身分をブラーミンと偽りパラシュラムに弟子入りし

クシャトリヤとして一流の奥儀を習得します。

しかし、後に彼のスータプトラとしての身分を知り激怒した

パルシュラムによりカルナは呪われてしまいます。

その呪いとは、一番大切な戦で、武器を呼び起こすマントラを

忘れてしまう、クシャトリヤにとっては痛恨なものでした。


それでも、このころにはカルナはアルジュナを凌ぐ

バラタ国一のアーチャーとなります。


その後カルナは、パンダヴァ兄弟の前に現れ、アルジュナに

挑戦状を叩きつけます。血のつながった兄弟とは知らず

カルナはアルジュナを始めパンダヴァ兄弟を脅かす存在

となったのです。

スータプトラという地位など気にもせず彼の技能に

惚れ込みカルナをアンガの国の王にしたのが他ならぬ

カウラヴァの王子(パンダヴァの宿敵)ドゥリョーダナ。


悲運にも、カルナは実の兄弟たちとやがて

クルクシェートラの戦いで対立しなくてはならない

宿命に立たされるのです。


この時点では、スーリャデーヴァの息子カルナは

単に悪役としてマハーバーラタに登場しているのかと

思ってしまうわけですが、中盤から驚きの展開となり

読者はぐんぐんとその人間性と愛に惹かれていくことになります。

つづく





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