カルナの美徳 2

スーリャデーヴァ(太陽神)とクンティー妃の間に

クル族の王子として生まれたにもかかわらず、

馭者とその妻に拾われ、育てられたカルナ。


スータプトラ(馭者の息子)と世間から

嘲笑されながらも、彼はアルジュナに匹敵する、

バラタ国で一二を争うアーチャーに

成長したのでした。

パンダヴァ兄弟の長男であるとは露知らず、

皮肉にも彼らの宿敵ドゥリョーダナに見初められ

カルナはやがてクルクシェートラの戦で、

アルジュナ達と直接対決する

運命に立たされてしまいます。


誰にも理解されず、孤独な少年、青年期を過ごした

カルナ(当時は、ラーダの息子ラデヤと呼ばれていた)。

幼少期から、彼の夢に幾度となく現れた女性。

カルナには、それがいまもどこかに生きている

実の母である分かっていました。


その後、最も慕っていた武道の恩師からも突き放され、

打ちひしがれていたカルナは誤って

牛を射ち殺してしまいます。

それを見たリシは、

「いずれ大切な戦で命を落としてしまえ」と、

カルナを再び呪ってしまいます。


そんな時、彼の身分のことなど気にも留めず

彼にアンガの王国を授け、真の友としてカルナを受け入れた

ドゥリョーダナ。

従妹のパンダヴァ族に対する妬みと憎悪で

破滅の一途を辿るドゥリョーダナを、

カルナは友としてずっと支え続けたのでした。

:::::::::::


黄金のイヤリングと鎧を着て生まれてきた

スーリャの息子カルナがアルジュナに匹敵する武士であることは

神々にとっても明らかな事実でした。

ところがそこには大きな問題が。

宇宙の意志通りパンダヴァ族が

クルクシェートラの戦で勝利を収めるには、

カルナが邪魔な存在ということになってしまいます。


そこで、インドラ神はある作戦に出ます。


ある日インドラは、スーリャデーヴァに礼拝する

カルナのもとへ、ブラフマーナの姿で訪れこう言います。

「お前のその黄金の鎧とイヤリングを

わしにくれないか。」

「これはわたしが生まれた時から、肌の一部と

なっているもの。代わりにもっと上等なものを

差し上げますから、これだけはお許しください。」

カルナは言いました。


「いやいや、お前のその鎧とイヤリングが欲しいのじゃ。」

カルナは、あることを思い出し苦笑いを浮かべます。


スーリャデーヴァが自分の父だと知らずに、

いつも太陽に礼拝していたカルナ。

そんな彼の夢にスーリャデーヴァが現れ、

ある夜、こう告げていたのです。

「正午の吉兆な時間にスーリャに礼拝する時

ブラフマーナが現れたら、彼の願いを

聞き入れどんな犠牲を払ってでも彼に施しなさい。」


カルナはインドラ神にもう一度目を向けると、

それ以上躊躇することないく

自分の肌の一部となっている黄金の鎧とイヤリングを

剥ぎ取り、インドラ神に手渡します。

「これがわたしの運命なら、喜んで

受け入れましょう。」

上半身が血まみれになりながらも

カルナの顔にはなぜか清々しい表情が

浮かんでいました。


神々はダルマに忠実で

純粋な犠牲の心に溢れ、そして完璧なまでの

バクティ(献身愛)を持つカルナに感銘を受けます。


インドラ神はカルナにインドラシャクティという武器を

授け、カルナの名誉がやがて永遠に語り継がれることになると

約束します。


この時カルナはまだ自分が

デーヴァプトラ(神の子)であること、

パンダヴァ兄弟の長男であること、

近くに実の母クンティーが存在することも

知る由もありませんでした。


既にクル族のカルマの歯車は着実に回転し、

悲しい宿命の日がクル族に近づいているのでした。

その火の粉はカルナにも容赦なく降りかかることになります。


つづく

ミスティカル ・ライト Blog

インド占星術、クリスタル・ジェムストーン・ヒーリング、新月満月のマインドフル瞑想会

0コメント

  • 1000 / 1000