マハバーラタとインド国の起源
あるところにコーシカという名の王がいました。
コーシカは太陽神の家系(スーリャヴァムシ)に生まれた
崇高な人格と高い霊性を兼ね備えた王でした。
彼は一切の欲望を断ち、地位も捨て森で瞑想に入りました。
コーシカのような人格者が瞑想し力をつけてしまうと
自分達の地位が脅かされるのではないかと、
デーヴァ界の王インドラは彼のもとに一人の美しいアプサラ(水の精・天女)
を送ります。
インドラの陰謀通り、美しいアプサラに一目惚れしてしまいます。
やがて、恋に落ちた2人の間に娘が誕生します。
われに返ったコーシカは自分の愚かさを恥じ赤子を放棄します。
美しいアプサラもまた自分の任務は終わったかと言わんばかりに娘にはいっさい興味は示さず、赤子は森に捨てられてしまいます。
やがてその子はカンヴァという賢者に拾われ育てられ、やがて美しい女性に成長します。
彼女の名はシャクンタラ。
そんなある日その森に、ドゥシャヤンタという王がやってきました。
シャクンタラの父コーシカが太陽の子孫なら、ドゥシャヤンタはチャンドラ(月の支配神)の家系の王でした。
ドゥシャヤンタはその森でシャクンタラを見かけるとすぐに恋に落ちてしまいます
ドゥシャヤンタはシャクンタラに結婚を申し込みます。
父代わりの賢者カンヴァが不在だったため
森の木々が証人として2人は結婚式を挙げます。こうして2人は夢のような数日を共にしました。
やがてドゥシャヤンタは『カンヴァの許しを得ることなく君を王国へ連れていくわけにはいかない。必ず戻るから待っていなさい。』
と言い残し彼女の元を去っていきました。
数日後賢者カンヴァが家に戻ると、すぐにシャクンタラの様子が違うこと、
そして彼女が子供を身籠っていることに気づきます。
カンヴァは彼女を祝福し、やがてシャクンタラに息子が生まれました。
子供はバラタと名付けられ、賢者とシャクンタラによって大切に育てられます。
そして3人は毎日ドゥシャヤンタが戻ってくるのを待ち続けたのでした。
しかし待てど暮らせどドゥシャヤンタが現れることはありませんでした。
物心がつくとバラタは2人に父の事を尋ね始めました。
賢者はシャクンタラと息子バラタを父の元へ連れて行こうと決心します。
王国に着きドゥシャヤンタの前に現れたシャクンタラでしたが、
ドゥシャヤンタは彼女のことをすっかり忘れてしまっていました。
『結婚式を挙げたとのことだが、証人はいるのかね?』
シャンタラは答えました。『森の木々が証人となり結婚式を挙げたではないですか。』
そこにいた人々はみな彼女をあざ笑いました。
『今日はわたしのためにここに来たのではありません。この子に会ってもらいたくて。』
シャンタラはそう言うと、ドゥシャヤンタに息子のバラタを紹介します。
するとドゥシャヤンタ王はどこからか天の声を聞き、バラタが自身の息子であることを
悟ります。
ドゥシャヤンタは自らの行動を恥じ、2人に謝罪しシャクンタラを妃として
またバラタを王子として受け入れました。
こうして太陽神スーリャと月の支配神チャンドラの血を引く
バラタ王子が誕生し、後に彼は慈悲に溢れる偉大な王として長い間国を統治したのでした。
国はバラタにちなんでバラタヴァルシャ(インドの正式名)として知られるように
なりました。
マハバーラタに登場するカウラヴァ一族は全員チャンドラヴァムシャ(月の子孫・家系)
として有名です。従って彼らは情熱的で常に感情や直感で行動してしまう傾向にあり、
その兆候はマハバーラタのありとあらゆるシーンに現れています。
一方、ラーマヤーナはスーリャヴァムシャ(太陽の家系)に生まれたラーマ神とその兄弟たちの物語で、太陽系の一族は論理的な考え方と行動をする傾向にあります。
ラーマ王が世間の声とダルマを重視し、シータをやがて森に追放してしまうところにもスーリャヴァムシャの論理性が現れています。
一方バラタヴァルシャの王バラタはその2つの性質をバランスよく受け継いだ存在と言えます。
バラタヴァルシャの起源は、感情に翻弄されたり、情にほだされたりしつつも論理的に物事を捉えようと日々葛藤する人間の永遠のテーマが象徴しているのかもしれません。
またスーリャとチャンドラの特性や聖典プラーナやイティハーサを理解することが、
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